アイ・メッセージを理解して
自分の気持ちを伝えるスキルを手に入れましょう。
「そこをどうにかお願いできないかな?」
そう言われたとき、皆さまは断ることができますか?
もし断りたい気持ちが浮かんでも、
🍀相手をがっかりさせたくない
🍀嫌われたくない
そんな思いが心の中に生まれて、
疲れていても、ついつい「いいですよ」と答えてしまう。
あとから、どっと疲れが出たり
断れない自分を責めることはありませんか。
特に、アダルトチルドレン(AC)や繊細な心を持つHSPの方は、
人の気持ちや顔色を機敏に感じ取る能力がある分、
自分の気持ちを後回しにしやすい傾向があります。
でも、断ることは冷たいことでも、罪深いことでもありません。
断ること、それは――
「自分の気持ちも相手との関係も大切にすること。」
このアサーショントレーニングでは
・自分の気持ちを伝える「アイ・メッセージ」の理解
・断るための伝え方
を、練習を通して身に付けていきます。
人とのかかわり方は、今からでも学び直すことができます。
小さな一歩から、一緒に始めてみませんか。
断ることが難しく感じるのは、決して性格の弱さではありません。
それは、人間関係を少しでも「安全に」保つために、
あなたが身につけてきた、大切な人間関係の対処方法の一つでした。
たとえば――
🍀断ったら嫌われるかもしれない」
🍀期待に応えないと、見捨てられるかもしれない
🍀相手にがっかりされたくない
🍀断ることは、裏切ることのように感じる
🍀私のことを認めてほしい
これらはすべて、
私たちが自分の心を守るために、そして人とのつながりを大切にしてきた証です。
実際、断らずにきたからこそ、人間関係が続いた経験もあったかもしれません。
でも、「自分が我慢することで成り立つ人間関係」をずっと続けていると、
知らず知らずのうちに、心は疲れ果ててしまいます。
断れるようになることは、生まれつきの才能でなく
誰でも練習によって身につけられる“スキル”です。
これまで学ぶ機会がなかった人でも練習を通じて身につけることができます。
あなたを苦しめている悪循環は、どんなことがありますか?
断れるようになるというのは、
🍀『自分勝手』になることでも、
🍀『わがままになる』ことでもありません。
それは、「自分の気持ちや限界に気づいて、それを大切にする」
という、自分という存在を心から大切に扱えるようになることです。
そして、
自分を大切にできる人ほど、
相手のことを今よりもっと大切にすることができます。
これまであなたは、
自分の気持ちよりも相手を優先することで、人間関係を守ってきたのかもしれません。
でも、これからは
自分の気持ちを無かったことにしない関係
を選んでいくこともできます。
そのために、
3つの新しい“考え方”を身につけていきましょう。
断ることは、
相手を拒絶することではありません。
それは、
お互いが無理をしないために、大切な線を引くことです。
無理をして引き受け続けることは、
心は疲れて、関係も長続きしにくくなります。
そして相手は「この人なら何でもやってくれるかもしれない」と、
悪気はなくとも、あなたにどんどん頼みごとをしてくるのかもしれません。
自分の気持ちを正直に伝えることは、
関係を壊すどころか
長い目で見て
💡自分の健康を守ったり、
💡相手との関係を続けること
につながります。
(1)まずは、お願いをする側の心を見ていきます。
相手がお願いを受け入れてくれれば、それが成功体験になって、
次回もまた、お願いをしてみようという気持ちになります。
(2)そして、断れない場合の心も見ていきましょう。
頼みごとを引き受け続けるのには、様々な心の理由があります
相手は、お願いをすれば引き受けてくれることを学んでいるので、
あなたにお願いがしやすくなっている可能性があります。
結果として、あなたは疲れを感じたり、
相手に対して怒りを感じているかもしれません。
(3)このサイクルが進むと、あなたは少しづつ人間関係が苦痛に思えてきたり、
相手に対して不満や怒りを感じたり、はっきり言えない自分を責めるかもしれません。
お願いする側も、あなたがどう感じているのかを「察する力」が弱い場合、
あなたのことを気遣うことができず
ある日突然、人間関係が壊れたように思えて驚く可能性があります。
もしも、
「相手にがっかりされないだろうか」
「自分は嫌われてしまうのでなないか」
そう考えて生きてきたのなら、お伝えしたいことがあります。
私の価値は、相手の反応で決まるものではありません。
無理を前提にして成り立つ人間関係は、続けていくほど苦しくなります。
例えば、仕事でどうしても断れない状況があったり、
相手との付き合いでという場合もあるでしょう。
でも、すべてが断れないものでもありません。
まずは、自分の中で変えられそうな人間関係から変えていくこともできます。
(1)断れない背景には「心の事情」もあります。
なりた心理相談室のカウンセリングでは、こうした心の気持ちに焦点を当てていきます。
そうすることで、理屈ではなくて私が本当に求めていることに、相談者さんが自ら気づく力が生まれます。
(2)もし、『相手の期待に応えること』=『私の価値』になっていると
相手の反応がそのまま自分の価値になるので、心は苦しくなっていきます。
近年問題になっている『燃え尽き症候群(バーンアウト)』を、こうした価値の重なりから、起こることもあります。
自分の気持ちを伝えることは、
相手を責めることでも、
自分の要求を一方的に押し付けることでもありません。
それは、
いまの自分の状態を、正直に相手と共有することです。
たびたび、自分の気持ちを伝えようとすると
相手に対しての罪悪感を感じることがあります。
ご自身のことを「わがままな人」と感じることもあるかもしれません。
でも、無理をして相手に合わせ続けるよりも
「今は余裕がない」
「今の私には難しい」
と正直に伝えるほうが、
相手も気をかけてくれて、関係が良好になる可能性もあります。
本当にわがままな人なら、相手がどんな気持ちになるのかを一切考えません。
ここでは、わがままな人を目指すのではなく、
断ったとしても人間関係が続くような気持ちの伝え方を目指します。
気持ちを伝えたり断れるようになることは、わがままになることではありません。
自分の気持ちも、相手の事情も考えたうえで、話し合いができるようになるので、
人間関係は今よりもっと良くなっていきます。
なにより、自ら自己開示ができるようになると、
相手からの信頼感は今よりももっと高くなり
周りから必要とされる人になります。
あなたは、わがままな人になりたいですか?
それとも、自分も相手も大切にできる人になりたいですか?
自分も相手も大切にしながら、
素直な気持ちを伝えるコミュニケーション方法を
「アサーション」と呼びます。
(さわやかな自己表現と言い換えられることもあります。)
アサーションの練習では、
次の3つのステップで「断る」伝え方を学びます。
例:忙しい中での急な頼まれごと(仕事)
① 事実を落ち着いて伝える
👉「今、やるべき仕事が立て込んでいます。」
※自分の感情を優先して伝えたり、言い訳のように長く説明するのではなく、
まずは今の状況を客観的に伝えます。
② 自分の気持ちや事情を、私を主語にした「アイ・メッセージ」で伝える
👉「今の状況だと、新しいことを引き受ける余裕がないと感じています。」
※相手を責めるのではなく、
「私はこう感じている」「私はこうしたい」と、
自分を主語にして伝えることがポイントです。
③ 状況に応じて伝え方を選ぶ
③-1 代わりに提案をする
👉「今日は難しいのですが、明日でしたら少し時間が取れるかもしれません。」
👉「一度、仕事の状況を相談してもよろしいですか?」
※断るだけでなく、可能な範囲で別の提案をすることで、
協力的な姿勢を伝えることができます。
③-2 完全に断る
👉「申し訳ありませんが、今回は引き受けることができません。」
👉「申し訳ありませんが、ほかの方にお願いしていただけますか。」
※無理をして引き受けるよりも、
できないことは落ち着いて伝えることも大切です。
③-3 関係を保つ「クッション言葉」を添える
👉「声をかけてくださって、ありがとうございました。」
👉「また何かありましたら、お声がけください。」
※相手との関係を大切にしたい場合は、
このような一言を添えることで、
やわらかい印象になることがあります。
「アサーティブな断り方」を練習していくときに、
まず自分の中で整理してみるとよいことがあります。
それは、
自分が断れないと感じる人や出来事を、書き出してみることです。
たとえば――
・上司や立場が上の人からの頼みごと
・家族からのお願い
・友人からの誘い
・困っている人からの相談
など、人によってさまざまです。
書き出してみると、
「この人には言いづらい」
「この場面ではつい引き受けてしまう」
といった、自分の心の本音が見えてくることがあります。
そして、もし引き受けるとしても、
自分が納得しているかどうかを
少し立ち止まって確認してみることも大切です。
「本当は無理をしていないだろうか」
「自分で選んで引き受けているだろうか」
そんなふうに、
自分の気持ちを確かめながら関わっていくことで、
少しずつ、これから出会う人との距離の取り方が変化していくこともあります。
以前、私がとある勉強会に参加をしたとき、
こんな言葉を耳にしたことがありました。
『“私は”違うと思ったよ。“私は”ね』
『こうしたほうがいいんじゃない?“私は”そう思っちゃったんだけどね』
一見すると、
私を主語にした「アイ・メッセージ」の言葉のようにも聞こえます。
でも、その場の雰囲気を見ていると、少し違う印象を受けました。
相手の気持ちを大切にしてみようというより、
自分の考えをそのまま相手に伝えようとしている。そんな空気感がありました。
「アイ・メッセージ」という言葉は、
「私はこう思う」
「私はこう感じた」
と、自分の気持ちを主語にして伝える方法として紹介されています。
でも、本当に大切なことは
言葉の形ではなくて、
その言葉が、どんな気持ちから出ているのか
ということも大切です。
(1)一見すると「アイメッセージ」に見える言葉
「私はこう感じている」
「私はこうしてほしいと思っている」
このように、
“私”を主語にして伝えているので、
一見すると「アイ・メッセージ」のように感じます。
でも、よく見てみると、
どこか相手のことを大切にしている感じが
あまり伝わってこないこともあります。
そんなときは、
試しにこの言葉を 「ユー・メッセージ」 に
置き換えてみると分かりやすくなります。
(2)「ユー・メッセージ」に置き換えてみる
置き換えてみると、
意外と納得できることがあります。
・「私はこう思う」は、
実は 相手への不満や嫌味 から出ている言葉。
・「私はこうしてほしい」は、
自分の思い通りにならない怒り から出ている言葉でした。
もしそうなのであれば、
言葉を少し整えるよりも、
いっそのこと
「このままだと不満になってしまうんだ」
「どうもイライラしてしまうの」
と、自分の感情を正直に伝えたうえで、
二人でゆっくり話し合う時間を作った方が、
結果として、よりよい関係につながることもあります。
「アイ・メッセージ」は、
自分の気持ちを隠すための言葉ではありません。
自分の気持ちを大切にしながら、
相手の存在も大切にするための言葉。
そのことを、
少しだけ覚えておいていただけると嬉しいです。
アサーションは、
うまく使えば相手を変えられる魔法ではありません。
どれだけ丁寧に気持ちを伝えたとしても、
相手が変わらないこともあります。
それでも、自分の気持ちを大切にして
言葉にしてみることには意味があります。
「自分は自分なりに向き合おうとした」
そう思える経験は、
これからの人間関係の中で
少しずつ自分を支えてくれることもあります。
人との関係に悩んだときは、一人で抱え込まず、
誰かと一緒に整理してみることもひとつの方法です。
なりた心理相談室のカウンセリングでは、
自分の気持ちを大切にしながら
あなたがまだ言葉にできない「アイ・メッセージ」を
身体全身で感じながら、
人とどう関わっていきたいのかを、
じっくりと考えていく時間を大切にしています。