静岡の相談窓口一覧を更新しました
AIに悩みを相談してみたら、ちゃんとした答えが返ってきた。「なるほど」とは思った。でも……なんだか、もやもやする。
AIに聞いても消えない、その「もやもや」の正体は、いったい何なのでしょうか。
この記事では、AIに相談することと、人間にカウンセリングを受けることの違いをいっしょに考えていきます。
〔上の再生ボタンから、音声を聞けます〕
皆さま、こんにちは。もしくは、こんばんは。なりた心理相談室のなりたです。
今日もこの「聴く音声ブログ」を聴いてくださって、ありがとうございます。
さて、今日お話ししたいのは、「AI」についてです。
最近は、AIに悩みを相談する、という方が世の中でずいぶん増えているようです。 チャットのAIに、悩みを打ち明けてみる。自分の気持ちを、文章にして送ってみる。 そうすると、けっこうちゃんとした答えが返ってくる──。そんな時代になってきました。
ですから、おそらくこの「聴くブログ」を聴いてくださっている方の中にも、AIに相談したことがある、という方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。
今日は、その「AI」を入り口にして。 AIに相談することと、人間にカウンセリングを受けること。 その二つがいったい何が違うのか。そんなことを、一緒に考えていきたいと思います。
まず、最初にお伝えしておきたいことがあります。
私は、AIに相談することを、まったく否定するつもりはありません。むしろ、人によってはいいことだと思っているんです。
真夜中の眠れない時間。誰にも言えない、恥ずかしくて言えないような悩み。 お金をかけずに、思いついたその瞬間に話を聞いてもらえる。これは、すごいことですよね。
一昔前だったらそんなふうに、いつでもどこでも相談できる相手なんていなかったわけですから。
ですから、AIに相談したことがある方。 それは、自分の心と向き合おうとした、とても前向きな一歩だと私は思います。
その上で、今日はもう少し先の話をしたいんです。
AIに相談したことのある方の中には、もしかしたら、こんな感覚を味わったことのある方がいるかもしれません。
AIに聞いたら、すごくちゃんとした答えが返ってきた。「なるほどな」とは、思った。 でも……なんか、もやもやする。
答えはもらったし、理屈は分かった。「たしかに、その通りだな」とも思う。 なのに、心のどこかがすっきりしない。なんだか、本質的なところには届いていない感じがする。
こういう感覚を、味わったことのある方は多くいらっしゃらないでしょうか。
今日は、この「もやもや」の正体について、少し掘り下げてみたいんです。 なぜなら、この「もやもや」の中にこそ、AIと人間の違いが隠れていると思うからです。
なぜ、AIに聞いても、もやもやが残るのか。私はこう考えています。
それは……AIが、「答え」を出してくれるからなんです。
「こういう考え方もありますよ」
「こう捉えると、楽になれますよ」
「あなたのその気持ちは、こういう理由から来ていますよ」
AIは、こちらの悩みを、とても上手に整理してくれます。そして、きれいに答えの形にまとめてくれる。
言ってみればAIは、とても優秀な「問題解決装置」なんですね。
問題を入れると、答えが出てくる。散らかった気持ちを入れると、整理されて返ってくる。 これは、本当にありがたいことです。
でも…ここが、大事なところなんですが。 私たちの心が、本当に必要としているのは、「答え」だけなのでしょうか。
ここで、少し想像してみてください。
あなたが、誰かに、モヤモヤした悩みを打ち明けたとします。 そうしたら、その相手がすぐにこう言ってきた。
「それはね、こうすればいいんだよ」
「答えはこうです。はい、解決ね」
──どうでしょう。
もちろん、その答えが的確なこともあります。 でも、なんだか「そういうことじゃないんだよな」と、感じることもありませんか。
私たちは、悩んでいるとき。本当は、答えがほしいわけじゃない、ということがあるんです。
そうじゃなくて。自分の中にある、この、うまく言葉にならない“引っかかって”いるもの。
それを、誰かと一緒に見つめてほしい。 「あなたは、本当はどう感じているの?」と、そう問い返してほしい。
そういう瞬間が、あるんじゃないかと思うんです。
答えを差し出されると、かえって心が閉じてしまう。その、閉じた感じ。 それが、「もやもや」の正体なんじゃないかと、私は思っています。
では、人間のカウンセリングは何が違うのか。
もちろん、当カウンセリングルームでも、一緒に問題を解決していくために、どういうことを考えていけばいいのか。それもとても大切にしています。
ただ──。 当カウンセリングルームには、すぐには答えが出ない、という方も多くいらっしゃるんですね。
複雑に絡み合っていて、簡単には解けない。一つの正解だけでは割り切れない。
そういう思いを抱えている方です。
そんなとき。カウンセリングでしかできないこと。 つまりは、人間だからこそできることがあると思っています。
それは──。 心からの納得に近づくために、心理療法などを通じて、カウンセラーと共に、深く、深く、掘り下げていく、ということです。
すぐには整理できない気持ちを、答えを急がずに。 その奥にあるものを、一緒に、じっくりと探していく。
実は、この時間こそが…その人を、少しずつ変えていくんです。
AIは答えをすぐに出してくれます。 でも、人間のカウンセリングは、必ずしもその答えを急ぎません。 心から納得できる、その一点に向かって、共にゆっくりと進んでいく。 ここに大きな違いがあると私は思っています。
そして、ここからが、一番お伝えしたいことです。
AIに聞いても消えなかった、その「もやもや」。 私は、あれは悪いものだとは思っていません。
むしろ、あの「もやもや」こそが──カウンセリングの入り口なんです。
考えてみてください。もやもやしているということは、 あなたの中で何かがまだ整理できていない、ということなんですよね。
でも同時に、それは「これは自分にとって、大事なことなんだ」という心からの信号でもあるんです。
どうでもいいことなら、もやもやしません。すぐに、「まあいいか」で済んでしまいます。
すぐに答えが出ないくらい複雑で、すぐに割り切れないくらい大切なもの。 だからこそ、あなたの心は答えをもらっても、もやもやしたままだった。
そのもやもやを、頭の理解だけで、無理やり片付けてしまうのはもったいないんです。 その奥に、まだあなた自身も気づいていない、大切なものが眠っているかもしれないからです。
では、そのもやもやを、カウンセリングを通して、どうしていくのか。
まず、そのうまく言葉にならない気持ちを、理屈だけでなく深い感情のレベルまで、一緒に掘り下げていきます。
そうすることで、これまで自分でも気づかなかった、本当の思いに少しずつ触れていくことができるんです。
そして、大切なのはここからです。
AIがくれるのは、「頭の理解」です。「なるほど、そういうことか」という、納得。 でも、カウンセリングが目指しているのは、その先にある「心からの納得」なんです。
腑に落ちる、という感覚。胸のあたりが、すぅっと軽くなる、あの感覚。
頭で分かっていることと、心から納得できることは、まったく別のものなんですね。
「あなたのその気持ちには、こういう意味があるんですよ」と、正しい答えを言われたとして。 それだけで、すべての人が腑に落ちるとは限りません。
だからこそ。 その人自身のペースで、その人自身の言葉で、心からの納得にたどり着いていく。 その道のりに、じっくりと付き添っていくのがカウンセリングなんです。
そうして、心から納得できたとき。 あの、しつこく残っていた「もやもや」がようやくほどけていくんですね。
AIに相談するのはいいことです。その一歩を踏み出したことを、私は素敵だと思います。
でも……もし。 AIに聞いても、なんだか、もやもやが残る。本当のところには届いていない気がする。
そんなふうに感じることがあったなら。
それは、あなたの心が 「もう少し、深いところで分かってほしい」。そう言っているのかもしれません。
その「もやもや」は、片付けるべき、やっかいなものではなくて。 あなたにとって、大切な何かへの入り口なんです。
今日は、そんなお話をさせていただきました。
皆さまは、あの「もやもや」が、心からすっと、ほどけたとき。一体 どんな明日が始まると思いますか。昨日と何が変わっているのでしょうか。
ぜひ、そんなことに頭と心を巡らせてみてください。
今日はこの辺で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。