「読むカウンセリング」は、アダルトチルドレン(AC)や生きづらさを抱えやすいHSP気質の方などにむけた、悩みの理解とセルフケアのための読み物です。
ページを読むこの時間が、あなたとの小さなカウンセリングのよう感じらるよう、丁寧につくりました。
遠くにいても、誰かが自分を理解してくれている。そんな感覚を、少しでも受け取ってもらえたらうれしいです。
人は何かに迷うとき、少なくとも2つ以上の思いが心の中にあります。
「こうなりたい」「でも怖い」
「やりたい」「やめておこう」
「このままじゃいけない」「でも変わるのは怖い」
──このような“ゆらぎ”は、人生のあらゆる場面で起こります。
今日のランチのAセットBセットを選ぶような小さな迷いから、
恋愛・進路・仕事・人間関係といった大きな選択まで。
今回は、「決心する」とはどういうことなのか、そして「問題が解決する」とはどんな状態なのかを、丁寧に考えてみたいと思います。
「解決」という言葉には、いくつかの状態が考えられます。
① 物理的に片付く(問題そのものがなくなる)
② 納得する(自分の中で意味を見出せる)
③ 折り合う(完全には消えないけれど共存できる)
④ 気にならなくなる(考える時間が減る)
⑤ そのまま持ち続ける(分からないままを生きる)
ネットでは
「苦しさから解放」
「あなたが生まれ変わる」
こういった表現を目にすることがあります。
アダルトチルドレン(AC)やHSPの人なら、こうした言葉にグッと胸がつかまされると思います。
そうすると、その「状態」は、上のどの段階を指すのでしょうか。
そして、問題がない、もしくは解決した姿とは、どんな姿なのでしょうか...。
決心とは、「何かを選ぶこと」であると同時に、「何かを手放すこと」でもあります。
たとえば、転職を決めるとき。
「安定」を選べば「挑戦」を失い、「挑戦」を選べば「安定」を失うかもしれません。
どちらの道にも魅力があり、どちらにも不安があります。
けれど、決心をするためには、少なくともどちらかの思いが過半数(少なくとも51パーセント以上)でも傾かないと、二の足を踏んでしまいます。
そして、手放した残りの部分を、どう意味づけていくのかも大切になります。
それは、手放した気持ちが「後悔」として残ると、
せっかく手にした喜びさえも、どこか薄れて感じられたり、
今・ここにいる自分を、心から楽しめなくなることがあるからです。
もし、今はまだ選べないのだとしたら、それもまた“今の選択”です。
そう思わされる経験が、私にもありました。
私はこれまで、自助グループ(ACの会)の活動を通して、
「行きたい気持ちはあるけど、実際に行く前までに何か月もかかった」という声をたくさん聴いてきました。
HPを見て、実際に行こうとするのは、大きな決心が必要です。
カウンセリングや自助グループに『行く』という決断も、
ある意味で「人生の一歩を踏み出す」という尊い意味を持ちます。
だからこそ、「決めたいけど決めきれない」
そんな自分を責めるよりも、
その“今の”思いに寄り添いたいと思いから――
「読むカウンセリング」を始めてみることにしました。
読むことで、自分の心を少しずつ整理していけるように。
そして、あなたの「決心」を、ほんの少しだけ、51パーセント以上に傾けるお手伝いができますように。
立ち止まっている自分を責めるよりも、
「“今は”まだ決められないんだ」と考えている自分を、そっと大切にしてみてください。
その曖昧な時間にも、きっと意味があります。
カウンセリングでは、その“意味”を一緒に探していきます。
迷いながらも生きる力強さ――
それが、最後にお話しする「ネガティブ・ケイパビリティ」なのかもしれません。
決心を難しくしているのは、「世間の正しさ」と「私の気持ち」を混同してしまうことにあるのかもしれません。
「こうするのが正しいはずだ」
「周りがそう言うから」
いつも誰かに「ああしなさい」「こうしなさい」と言われてきた人ほど、
自分の“好き・嫌い”と、世間や他者の“善い・悪い”がごちゃごちゃになっているのかもしれません。
けれど、“世間の正しさ”に従っても、心の奥に小さな違和感が残ることがあります。
自分で決めたように見えても、どこか心は納得していない――
そんな経験はないでしょうか。
一方で、「本当はどうしたいか」「心地よいか」「どちらに気持ちが動くか」という、
“好き嫌い”の感覚も、私たちの心の中には確かに存在します。
決心とは、「善い・悪い」だけを判断することではなく、
「自分の内側がYESと言っているか」を聴くこと。
その静かな心の声に耳を傾けることから、
本当の意味での“自分の決心”が始まります。
だからこそ、カウンセリングはその助けになることがあります。
誰かに答えをもらうことよりも、
自分の中にある答えを少しずつ見つけていく――
その時間が、皆さまの“YES”を取り戻すきっかけになります。
カウンセリングの場では、理屈や世間体のさらに下にある、
「あなたが感じている、今・ここの気持ち」を一緒に聴いていきます。
それは、その気持ちこそが生きるためのエネルギー源だからです。
頭で「こうすべき」と分かっていても、
心が納得していなければ行動は続きません。
無理を重ねれば、やがて身体に不調として現れることがあります。
心と身体は、深くつながっているからです。
一方で、自分が何を求めているのか、
どんな気持ちがそこにあるのかを、自分自身が確かめられたとき――
人は、多少の困難があっても前に進むことができます。
なぜなら、「周りがどう思うか」ではなく、
“私の中の思い”が、生きる源に変わっていくからです。
決心とは、理性と気持ちが手を取り合う瞬間に生まれるもの。
カウンセリングでは、その瞬間が自然と皆さまの心の中に湧き上がるように、
焦らず、ゆっくりと心の声を確かめていきます。
「どうしたらいいのかわからない」
「答えが出さなきゃと思うのに、決められない。
そんな時間を、私たちはときに「苦しい」と感じます。
迷いの中にいると、進んでいるのか下がっているのか分からず、不安にもなります。
けれど、カウンセリングとは――
その“わからなさ”を無理に消そうとせず、
一緒に考え、感じながら、共に理解していく場所ででもあります。
イギリスの詩人ジョン・キーツは、
このような「不確かさの中にとどまる力を」を
“ネガティブ・ケイパビリティ”と呼びました。
それは、「答えを出さない」ことではなく、すぐに答えが出ない現実を、一緒に見つめていく力。
孤独に耐えるためのものではなく、
少しずつ見えてくる“自分の声”を大切にする力です。
「読むカウンセリング」も、
そんな“わからない今”を生きているあなたのために書き続けています。
焦ることや、立ち止まることがあっても、少しずつ、
「私の心はどうしたいと言っているのか」が見えてくるように。
カウンセリングは、
“曖昧なままのあなた”をそのまま歓迎する場所です。
そして、
その曖昧さの奥に、
確かに息づいている『あなた自身の声』を
いっしょに聴いていけたらと思います🌿